シンギュラリティ高等学校 SHINGULARITY HIGH School

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Dへの道、あるいはシン高と幸和の物語

2025.06.09
eSOM: Dへの道(27)オードリー・タンの『Good Enough Ancestor』を観ながらシン高を構築する(Part 6)

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また空海は、EMCSと会津を結びます。
会津には沢山の弘法大師伝説が残っています。
Q. コロぴょん、福島の会津に残る弘法大師(空海)伝説を詳しく教えてください。
Q. コロぴょん、日本各地にある弘法大師伝説をそれぞれ詳しく教えてください。
2012年8月11日(土)、密教の山岳信仰の聖地として名高い飯豊山の麓にある山都(やまと)という町に、中学からの親友と夜、ドライブに出かけた時のことです。
Q. コロピョン、福島県にある飯豊山は密教の山岳信仰の聖地の一つとして名高い山ですが、その麓にある山都(やまと)町に残る弘法大師伝説など、飯豊山と弘法大師の関係も含め、飯豊山および飯豊山と密教/山岳信仰との関係について詳しく教えてください。
山都(やまと)には、弘法大師伝説の一つである水にまつわる伝説が残っており、その水で作ったお蕎麦の美味しさで有名です。
当時はまだ、星の光を遮る外灯がどなく、自分がその一部としての「星の子」であることを真に実感できる満天の星空でした。
地上の漆黒の闇の中を何度か、1910年の開通当時、東洋一の規模を誇った一ノ戸川橋梁(いちのとがわきょうりょう)を電車が行き来するほど長く夜空を眺めていました。
10代の頃、松本零士原作の映画「銀河鉄道999」に強い影響を受けた私は、その橋梁を走る鉄道を「999(スリーナイン)」と呼んでいました。
「999(スリーナイン)」は、私を生んだ、私の故郷である満天の星空へと向かって走っていると確信するほど特別な夜でした。
そしてその瞬間、この私の真の故郷(宇宙)の入口である、私の現世における故郷(日本)に戻り、D(=DD)を構築したい、そうしようと初めて思ったのです。
2
上記でお話したように、柄谷さんの「向こう側(elswhere)」という概念の私の解釈の「導きの糸」は、シン高の「科学と人間生活」である越智秀二さんの「宇宙史」です。
その授業の冒頭で越智さんは、ここまで説いてきた私と空海の関係を知ることもなく、空海の名前の由来について話してくれました。
それは基本、以下でCoroが説明してくれていることです。
Q. コロぴょん、空海という名前の由来を詳しく教えてください。
Coroによるとまず「空(くう)」とは、「全ての存在は固定された実体を持たず、常に変化し、互いに依存し合っている」という「縁起(えんぎ)」の教え、あるいは「無我(むが)」の思想を表します。
またそれは、『般若心経』の「色即是空(しきそくぜくう)」に代表されるように、形あるもの、目に見えるものは、実体として独自に存在するのではなく、縁によって生じ、やがて消滅する無常のものであるという真理を指します。
一方の「海(かい)」は、次の三つの要素を含みます:
①「その広大さ、深さ、そしてあらゆるものを包み込む包容力を象徴します。
②仏教においては、「大海」は仏の智慧や慈悲が広大無辺であることを表す metaphors (メタファー) として用いられることがあります。
③また、あらゆる教えや衆生を受け入れ、育む広大な器としての意味も込められているでしょう。
こうした意味では「空海」という名/概念は、詳解は別な機会に譲るにしても、plirality/non-binary≒parallaxという概念と重なる面が多々あることは、多くの人が直観出来るところのものでしょう。
そして越智さんは、この名/概念が意味するところの視点から、138億年前の宇宙の誕生を起源とし、45億年前の地球、500万年前の人類の誕生を経由して、まさに今、人類がその手で地球を消滅させる力~核~を持つまでになった宇宙史を、シン高の必修科目「科学と人間生活」で説いてくれます。
それと同時に、今、人類は、自らが持ってしまったその破壊の力を抑止し、宇宙史を宇宙の摂理の軌道に戻す力も持ち始めました。
それが柄谷さんとタンさんのplurality/non-binary≒parallaxという概念/観念/(霊的な)力であるとシン高は考えます。
そこにシン高は、「空海」という名/概念/観念/力を加えたいと思います。
そもそも「空(くう)」という概念は、宮本武蔵の『五輪書』の最後を飾る「空の巻」を経由して、心理学者のミハイ・チクセントミハイのポジティブ心理学における「フロー」という概念として、シン高/幸和の共育の根本基礎を成すものです。
Q. コロぴょん、弘法大師・空海の名に含まれる「空(くう)」という概念は、『般若心経』に影響を受けた宮本武蔵の著書『五輪書』で説かれている「空(くう)」概念、さらには武蔵の「空(くう)」概念との類似が指摘されるミハイ・チクセントミハイの「フロー」概念と密接に関係していると考えられますが、それらが全てどのような点で関係しているかを、詳細に説明してください。
弘法大師伝説を一つの足掛かりとし、概念である「空海」としてのplurality/non-binary≒parallaxを深掘り(探求)する旅によって、eSOMを拡充し、それを基にD=DDを構築していくのが、これからのシン高です。
(書評)「弘法大師にまつわる伝説をもつ全国各地の『弘法水』 民俗学・地理学・自然科学的視点から伝説を読み解く」
3.
この回の最後の部分を、空海という人と名を探求する旅の始まりとしましょう。
空海と私の繋がりはまだまだ続くのです。
まず再び会津。
実はシン高安浦キャンパスと同じく、私の会津の実家のすぐ近くにも、空海が開基したとされる弘法寺があります。
父の生家はさらに近く、子供の頃の遊び場だったそうです。
そんな父は、2006年、私がカナダの大学で教授職に就くや否や亡くなりました。
死期が迫る中、最後に行きたいと母に懇願し、母と一緒に訪れたのが弘法寺だったそうです。
18歳で渡米してからはほとんど会うことのなかった父ですが、子供の頃は私が人生で初めて出会った師でした。
芥川龍之介から吉川英治(シン高のバイブルである『バガボンド』の原作『宮本武蔵』の著者)に至るまで、酔っ払いながら文学の素晴しさを教えてくれたのは父でした。
自身、定年前は小学校の校長まで勤めた教師でありながら、「お前に教えれる教師などいない、数学さえ自分で勉強してればいい、後は俺と一緒に野球を観てろ」と無茶苦茶なことを言い、私を生涯通じての数学と野球好きにしたのも父でした。
4.
もう一つ、シン高設立と関係して、空海と文学に纏わる決定的な出来事があります。
3.11が起きた翌年の2012年の夏は日本に帰国し、東京と会津を行ったり来たりしながら過ごしました。
会津にいるときは、福島第一原発事故のあった大熊町の住民の住民の方々が、実家の周りに避難してきており、その子供たちと野球をして過ごしました。
また、この時に東京で初めて、知人の紹介で新谷理事長と出会いました。
こうして改めて当時のことを振り返ると、私と理事長は、広島と福島を繋ぐ使命を負っているような気がしてなりません。
東京ではもう一人、EMCS出身の知人に会いました。
私が日本経済新聞社(NIKKEI)の記者をしている時に、一番仲のよかった先輩・田村正之さんです。
田村さんは香川県高松のご出身で、生家は明治10年(1877年)創業の老舗お煎餅屋さんである宗家くつわ堂です。
私が日経にいたバブル経済崩壊期の田村さんは、RCサクセションの名曲「僕のすきな先生」の美術の先生がそのまま歌から出てきたような方でした。
「僕のすきな先生」はこちら:
いつもタバコを吸いながら記事を書いていたところだけではなく、その雰囲気全てが。
田村さんは画家ではなく作家でしたが。
彼は記者をやる傍ら、小説を書いていました。
私が日経を辞めて米国の大学院に進学してから5年後、『ゆらゆらと浮かんで消えていく王国で』という作品で開高健賞(1998年)を受賞し、その後『青い約束』というベストセラー作品も生み出しました。
日経当時、私も小説家を目指しており、それもあって仲良くなったというわけです。
2012年夏、およそ20年ぶりに再会した頃、私は葛藤していました。
テニュア(終身地位保障)付きの大学教授職を捨てて日本に戻り、D(=DD)を構築するべきか否か。
それは同時に、書くものの内容、スタイルに関する葛藤でもありました。
D(=DD)の構築に直結するものを書くべきか否か。
(私にとって、小説を書くことが目的であったことは一度もなく、D=DDを構築する上で自分に最も合った手段であると考えていました。)
そのことをもんじゃ焼きを食べながら田村さんに話すと、そのことに直接意見を述べることなく、突如、空海の話をし始めました。
空海は、自分の考えを戯曲として書いた、と。
Q.  コロぴょん、空海が自分の考えを戯曲として書いたことは広く世に知られていますが、そうするに至った経緯を含め、その件について詳しく教えてください。
「だから君もそうしたほうがいい」とか、そういったことは一切なしに、ただ「僕のすきな先生」の美術の先生のような「いき」な語り口で。
それ以来、学術論文を書く時も物語仕立てで書くようになり、大学を辞め、本格的にD=DD(シン高/幸和)の構築に着手し始めてからは、その「設計図」や実際の進捗状況そのものを物語(『eSOM: Dへの道』としての宇宙史)として書くようになったというわけです。
つまり、D=DDのデザイン自体が、東京の下町というeSOM(「向こう側」と「こちら側」の境界)で、「空海」として「向こう側」からやって来たというわけです。
(続く)
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