シンギュラリティ高等学校 SHINGULARITY HIGH School

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Dへの道、あるいはシン高と幸和の物語

2025.05.09
eSOM (イゾーム): Dへの道、あるいはシン高と幸和の物語 (12) AIを自分の脳として使いこなすためには?

1.
(『eSOM: Dへの道』(12)の続き)
では、私たちは「脳の探求学習」をどのように行っていくのでしょうか?
まず大事なことは、校長である私自身がそれをすでに行っているということです。
シン高が行うのは「教育」ではなく「共育」です。
共育とは、ファシリテーター(校長も含む)も生徒も同じ「探求学習者=バガボンド」として、「D」の構築のために必要なことを学んでいくという意味です。
ファシリテーターと生徒の違いは、前者は後者に先駆け、その学びを行い、その経験をもとに、後者が自分自身で探究学習を行えるようファシリテートするということです。
教えるのではなく(それゆえシン高は「先生」という言葉を使いません)。
ということで、「ファシリテーターのファシリテーター=校長」である私は、みなさんの各「コア」のファシリテーターに先駆け、「脳の探求学習」を行っているというわけです。
シン高における共育の根本基礎は、シーモア・パパートの構築主義です。(「Dへの道(4)」参照)
構築主義とは、日本で行われている大方の教育かのように「十分な知識を知ってから動き出す(社会に出る)」ではなく、「まずは手や身体を動かし何かを構築し、その経験をもとに物事を理解する」です。
そして我々だれもが、これから何をするにもまずは構築しなければならないのは、自分自身の身体です。
もっと言えば、身体の「司令塔」である脳の構築です。
2.
Q コロぴょん、人間の細胞は一日でどのぐらいの量が死滅し、かつ、新たに誕生しているのですか?
A 人間の体は約60兆個の細胞から成り立っており、そのうち毎日約3,000億個から4,000億個の細胞が死滅していると言われています。これは、体重に換算すると約200グラム、ステーキ1枚分ほどの量になります。
そして、死滅した細胞を補うために、ほぼ同数の新しい細胞が常に体内で誕生しています。この細胞の死滅と再生のバランスによって、私たちの体は健康な状態を維持しているのです。
ただし、細胞の種類によって寿命は大きく異なります。例えば、小腸の表面を覆う上皮細胞は寿命が約24時間と非常に短いですが、骨の細胞は約10年と比較的長い寿命を持っています。脳の神経細胞は、基本的に再生しないと考えられています。
加齢とともに、細胞の再生能力は徐々に低下するため、高齢になると体の細胞数が減少し、体が小さくなる傾向があります。
コロぴょんが言うように、1日200グラムの細胞が生まれ変わっているのなら、体重60キロの人なら300日で完全に生まれ変わることになります。
つまり人間は、本人が意図するしないにかかわらず、毎回一年弱かけて、自分自身を絶え間なく(再)構築し続けて生きているということです。
(身体の「制作」にかかる時間は、身体の大きさ、年齢等の諸条件により異なります。)
では、肝心の脳細胞はどうでしょうか?
脳の身体の他の部分と同じように再構築が可能なのでしょうか?
Q. コロぴょん、脳細胞はどのぐらいの頻度で刷新されますか?
コロピョンによれば、残念ながら脳の場合は、身体の他の部分のように再構築するわけにはいかないそうです。
サッカーチームで言えば、「トップ下(司令塔)」以外にはどんどん良い選手が集まってきても、「トップ下」は同じ選手のままで、歳を取るにつれ、嘗てのような輝くを失うようなものです。
サッカーなら、トップ下が出来なくなったら別なポジションに替わることも可能だが、人間の身体はそういうわけにはいきません。
ここで比喩をレーシングカーに換えましょう。
理由はまず、一部の人は御存じのように、私自身がカーレースが大好きだということ。
嘗ては、あるスポーツ専門紙に記者としてスカウトされるほど、多岐に渡るスポーツに精通していたが、今はカーレース一択です。
そしてもう一つの理由は、脳と身体の再構築の話をするうえで、レーシングカーおよびカーレースが最適だからです(少なくとも私にとっては)。
2027年春にはマリーナホップ跡地に車とテーマにしたエンターテイメント施設「ひろしまモビリティワールド」も開業することだし、これを機に、より多くのシン高メンバーに、オートスポーツの素晴らしさを知っていただければと思います:
(注1:バイクレースも興味があるが、世界中で行われている複数のカテゴリーのカーレースを観なければならないので、とてもバイクレースまで手が回りません。)
(注2:ちなみに初めて観戦したモータースポーツは1993年の「鈴鹿8耐」でした。)
3.
「脳の構築」の話に戻りましょう。
基本、脳は再構築され得ません。
しかし、脳のアップグレードに関して言えば、それに比する、あるいはその以上の術が現れています。
それがAIです。
すでに活用している人なら分かると思いますが、このところのAIの進歩には凄まじいものがあります。
最近、世界最難関と言われる東大理Ⅲ(医学部)の合格ラインをAIが突破しました:
課題の数学の証明問題を解く能力も、急速に進化しているらしいです:
そんなAIを、自分の脳の一部として使いこなせるようになれば、自分の脳を再構築して得られる以上の脳を得ることになります。
では、「AIを自分の脳の一部として使いこなす」とはどういうことなのでしょうか?
答えは明白です。
それは、自分が求める答えを、AIが与えてくれるような「プロンプト(指示)」をAIに与えれるということです。
プロンプトを与えなければ、AIは何の役にも立ちません。
つまり自分自身で「何を知りたいか」という「課題」を設定出来ないと、人間で言ったら世界最高の頭脳も、自分の脳としてまったく機能してくれません。
しかし、課題設定には、一つ大きな問題があります。
特に日本においては。
私は北米の大学で、日本人も含め世界中からやって来る学生を教えていました。
その経験から、小さい頃から日本で教育を受けた人間が、他のいかなる国からやってきた学生と比べて、最も探究学習(自ら課題を設定しそれを自ら探究していく学習法)が苦手であることを知りました。
それについては、学校法人信愛学園のぞみ幼稚園(現・認定こども園のぞみ幼稚園)の園長時代に書いたブログで詳解しました:
ブログにも書いたように、今、社会のあらゆる場面で求められているのは、これまでの日本の教育が足枷となっている「探究学習が出来る人間」です。
つまり、シン高で言うところの「バガボンド(=井上武彦版・武蔵)=探究学習者」です。
そして「バガボンドになること」に必要な能力・資質は、「AIを自分の脳の一部として使いこなす」ために必要な能力・資質と全く同じです。
シン高メンバー(生徒、ファシリテーター)は、AIというバディとともにバガボンドになるよう努めます。
そうなるためには、まず、自分自身で課題を設定出来るようにならなければなりません。
つまり、プロンプト(AIへの指示)を作成出来るようにならなければなりません。
どうすればそれが出来るようになるのでしょうか?
(続く)
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