eSOM (イゾーム)
Dへの道、あるいはシン高と幸和の物語
2025.05.09
『Dへの道、あるいは幸和物語』(2):「バガボンドになること」、そして「幸和」の「共育」
1.
さてさて、いよいよ(小説)『Xへの道、あるいはシン高物語』(略称:『Xへの道』)の再開です。(注:『Xへの道』全30回は、シン高公式Xの「Article(記事)」欄で読むことが出来ます。)
再開にあたり、題名を(小説)『Dへの道、あるいは幸和物語』に変更することは、前回述べた通りです。
名前だけでなく、その内容というか性格も多少変化します。
『Dへの道』では、幸和グループ(以後、「幸和」)の究極目標である「D」の達成のために、シン高では具体的に日々どのようなことをしているか、または、していこうとしているかが主になる(はず)です。
「D」とは何でしょうか?
それは幸和グループの名誉学園長である柄谷行人さんが唱える「交換様式D」のことです。
柄谷さんを敬愛するオードリー・タン(以後、オードリー)はそれを、「見知らぬ人と見返りの関係にならずに交換するパターン=X」と定義します。
「D」という表記は、「交換様式D=X」および「「交換様式D=X」が支配的となる世界」を意味することとします。
一方、「交換様式A」というものがあります。
それをオードリーは、「知り合いと見返りの関係にならずに交換するパターン=互酬(贈与と返礼)」と定義します。
柄谷さんによればそれは、多くの場合の母親と子どもの関係です。
「A」という表記は、「交換様式A」および「「交換様式A」が支配的となる組織」を意味することとします。
「A」は「D」の雛型(モデル、小宇宙)です。
「幸和」は、まず「幸和」を構成する各組織(シン高、認定こども園4園、eSOM、等々)のそれぞれを「A」として構築し、それを国内外で拡充することで「D」を構築していきます。
2.
生徒であれファシリテーター(「先生」ではなく)であれ、「幸和」のメンバー(以後、「メンバー」)であるということは、「「幸和」を「A」として構築することに貢献する」という責任を持つということです。
「メンバー」は各々、この責任を果たすうえでの自らの役割を自覚し、その役割をまっとうするために必要な能力・資質を育み、実際にまっとうすることが求められます。
このような、ある組織をその組織の目標に沿って構築する上での「自らの役割を自覚し、その役割をまっとうするために必要な能力・資質を育み、実際にまっとうする」人間は、国際バカロレア(IB)教育において探求学習者=エージェントと呼ばれます。
「幸和」においては、「まず「幸和」を構成する各組織(シン高、認定こども園4園、eSOM、等々)のそれぞれを「A」として構築し、それを国内外で拡充することで「D」を構築していく」という、「幸和」特有の目標を達成する上での「自らの役割を自覚し、その役割をまっとうするために必要な能力・資質を育み、実際にまっとうする」人間を「vagabond(バガボンド)」と呼びます。
そうした「幸和」特有の探求学習者=エージェントが、井上武彦の漫画(アート)『バガボンド』に如実に表現されているからです。
「幸和」における「共育」は、「バガボンドになること」を目的とした「共育」です。
(続く)