eSOM (イゾーム)
Dへの道、あるいはシン高と幸和の物語
2025.05.09
(小説)「Xへの道」、あるいはシン高物語(22):台湾有事、広島の再軍都化、そして『サマーウォーズ』
1.
14歳の君(僕)へ、そしてシン高のみんなへ
前回(小説21)の最後、「次回、この本[『この世界の片隅で』(山代巴・編、1965年、岩波書店)]から、本格的に地球を覆う時空の旅に出る」と予告した。
それから一週間、普段より多くの新聞記事を注釈付きでXに投稿した。
それらが全て、「地球を覆う時空の旅=僕らの世界史=現実」を構成する。
この世界史は普段、「マトリックス(偽りの現実)」によって、僕らの目から覆い隠されているし、肌で感じれないようにされている。
勘違いしないでほしい。
新聞記事が「現実」だと言っているわけじゃない。
『この世界の片隅で』のような優れた本(ルポルタージュ)でさえも、そのままで「現実=僕らの世界史」になるわけじゃない。
それは、科学的に研鑽された知識や、「行為的直観」と呼ばれる特殊な直観をもとに「リミックス(注釈・校訂)」されて、はじめて「現実=僕らの世界史」を構成する(小説21参照)。
2.
では高校開校を前にしてなぜ、このけったいな世界史が書かれなければならないのか?
それが、シン高生一人ひとりが将来に向けて「成すべきこと」を決めるうえで必要だからだ。
勿論、一人ひとり、自分がやりたいと思うことをやるというのが大前提だ。
しかし、自分がやりたいことをやって食べていくには、それが社会が必要としてることでもなければならない。
そうでなければ、自分が必要としながら、他者からしか得ることが出来るないものを得ることが出来ない。
つまり、「自分がやりたいこと」と「社会が必要とするもの」が交差するところが、「自分がやるべきこと」、「成すべきこと」ということになる。
結果、あなたが「成すべきこと」は、「ウェルビーイング(個人と社会に良いこと)を高めること」でなければならないということになる。
それが「仕事」だ。
これからの「AIの時代」は、これまで存在した職業をAIが取って代わる一方、AIの台頭によって生まれる新しい職業がどんどん出て来る。
きっとシン高のだれもが、それぞれ興味があること、好きなこと、得意なことで、かつ、他の多くの人々が必要とすることがあるはずだ。
今はまだなかったとしても、きっとこれから現れるはずだ。
この「Xへの道、あるいはシン高物語」という名の「僕らの世界史=現実」は、「シン高生のための職業案内」にするつもりだ。
3.
今週も毎日のように以下のような安全保障関係の記事が多かった:
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と
の比較
Q. この二つの陣営が、現在から未来にかけての世界史のメインアクターと考えてよいかもしれません。
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「
は6月、
(
)の枠組みを活用するよう提案した。TPP加盟国が貿易制限を受けた場合、他の加盟国が共同で対抗措置を発動する仕組みだ。自由で公正な貿易を守りつつ、威圧に対抗する狙いがある。」
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TPPとBRICSは2000年代から、互いにけん制し合うようにして、それぞれその結成が模索され始めた。
それと平行して僕(未来の君)は大学で毎学期、アジア太平洋学科の必修科として、「ラフェーバー先生の世界史」(『日米の衝突:ペリーから真珠湾、そして戦後』)を教えだした。
読む度に、第二次世界大戦へと向かう連合国と三国同盟の争いが、現在のTPPとBRICSの争いとタブってきた。
最終的にそれについて学者最後の論文を書いて大学を辞め、シン高を作り始めた。
だからこの小説は、「ラフェーバー先生の世界史」の続編であると同時に、僕自身の学者最後の論文『A Secret History: Tosaka Jun and the Kyoto Schools』の続編でもある。
僕(君)の学者最後の論文はこちら:
↓
「ラフェーバー先生の世界史」は、日米を始めアジア太平洋諸国の新聞記事が資料としてふんだんに使われている。
その世界史は1995-6年で終わるから、「その続きを日経を元にリアルタイムで書いてたら、続編になっちゃうな」と常々思って入た。
それを今やっている。
自分も含めシン高生の未来のために。
なぜ日経新聞かと言うと、それが「TPPの広報誌」のようなものだからだ。
だから少なくともTPP陣営が何を考え、何を企図しているかが或る程度までなら分かる。
いずれにせよ『続・ラフェーバー先生の世界史』とも言えるこの「現実:僕らの世界史」を書くにあたって唯一大切なことは「シン高生の未来」だ。
それはTPPとBRICSの争い中、そしてその「向こう側」にある。
それを「実況中継」するのがこの「物語」だ。
4.
僕(君)の人生が、高一の春に司馬遼太郎の『竜馬がゆく』を読み出してから本格的に始まったこと、、すでに書いた通りだ(小説21)。
どうせなら、この「歴史小説(としての『Xへの道、あるいはシン高物語』)」も、『竜馬がゆく』のように夜も眠れぬほどワクワクドキドキの物語にしたい。
ちなみに、学術書の典型のようなラフェーバー先生の『日米の衝突』は、ほとんどの学生にとってはとても退屈だったらしい。
それを、学生にとって面白い歴史物語として授業で話すのに四苦八苦した(もちろん全て英語)。
その経験をこの小説に生かしたい。
主人公は勿論、君(僕)らシン高生自身だ。
そしてストーリーの大筋は、「西軍(TPP)」と「東軍(BRICS)」の抗争だ。
その争いの中で君(僕ら)がどうやって幸せを掴んでいくかだ。
数年後には広域通信制高校になるシン高も、現時点では広島と山口に住んでいる人がほとんどとなるだろう。
この地域は、その歴史的所与ゆえ、前回(小説21)から話している「軍事経済」化の典型だ:
防衛省は6日、
(
)の跡地に計画する
を巡り、広島県と呉市、日鉄との4者協議を開いた。防衛省は民間企業の誘致や艦艇配備、訓練場といった区域分けの案を提示した。
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「トヨタは環境車を幅広く取りそろえる「
(全方位戦略)」を進めており、「顧客が求める選択肢をタイムリーに投入していくことが重要と考えており、実需を慎重に見極めながら柔軟に対応する」としている。」
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一方、我がMAZDAはEV関連投資を増やしている:
「経済産業省の21年の調査によると、広島県は製造品出荷額における自動車などの輸送用機械が占める割合は29%だった。全国平均の17%を大きく上回り、全都道府県で4番目の規模だ。」
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MAZDAは「やらかし」てしまってるのだろうか?
それも少しはあるかもしれない。
しかしここで重要なのは、EV向け電池がEVのためだけのものではなく、「軍民両用技術(dual use technology)」であるということだ:
も同様なのでしょうか?
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5.
軍民両用技術は、軍国主義化の象徴だった。
だからこそ第二次世界体制後は米国から圧力もあり、日本における技術の軍事転用は厳しく規制されていたことは、「ラフェーバー先生の世界史」に詳しく書いてある。
それが今では良きことのように語られている(特に日経などでは)。
そうした歴史などなかったかのように。
いずれにせよ、EV関連技術がデュアルユース技術であることを鑑みれば、マツダが広島、山口にEV向け電池のサプライチェーン網を敷いている別な意図も見えてくる。
日鉄・呉跡地を中心とした「広島の再軍都化」を見越してのことという意図が。
こうして歴史は繰り返される。
冒頭の記事は、「台湾有事の「2027年説」が現実味を帯びる」という。
「戦後最悪」の危機を迎えていると言われる日本周辺が、太平洋戦争前の満州とダブるように、「台湾有事」が1931年に勃発した「満州事変」とダブる。
となると僕らは今、「1928年」の地点にいることになる。
そう考えると、この辺りの歴史を専門としてきた僕としては、かなり緊張感が増す。
でも憂鬱になったりはしない。
シン高生みんなで、「竜馬」、「それはちょっと…」という場合は「健二と夏希」になるチャンスだ。
(続く)