シンギュラリティ高等学校 SHINGULARITY HIGH School

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Dへの道、あるいはシン高と幸和の物語

2025.05.08
(小説)「Xへの道」、あるいはシン高物語(15):人新世、宇宙の歴史、そして似島

14歳の君(僕)へ、そしてシン高のみんなへ
今(2024年8月10日)、43年前に君(僕)がいた部屋でこれを書いているよ。
明日から石巻に行く予定だったけれど、「おかえりプロジェクト」の開催予定日である12日に台風直撃ということで延期になった。
「プロジェクト」の中心人物である只野哲也さんには15日に会いに行くことになった。
今、僕が住んでる時代は「地球温暖化」がとても深刻な問題になっている。
「人新世(じんしんせい)」と言われる、人類の歴史の新しいステージの象徴の一つだ。
そして広島、長崎への原爆投下が「人新世」の始まり。
そう考える識者が少なからずいる。
いずれにせよ僕らは、歴史の新たなステージにいる。
それはもはや、「人類の歴史」などというちっぽけなものじゃない。
人から石ころまでの、存在するもの全の歴史、その意味での自然の歴史、地球の歴史、つまり宇宙の歴史だ。
そしてそれが君(僕)も含め、シン高生にとっての「僕らの歴史」だ。
僕は、シン高の向洋駅前キャンパスに常設展示される坂本龍一さんと高谷史郎さんの作品は、この歴史を表現していると思っている。
そして、あらゆることを、この「宇宙(自然、地球)の歴史」としての「僕らの歴史」に位置づけて理解することの大切さを知ること、それがシン高の「ロゴマークに込められた想い」だ:

のロゴマークは、重力によって時空がねじれた無限の宇宙を表現しています。夜空に浮かぶ星空から物事を見るような広い視野を持つ、スケールの大きな人間になってほしいという想いが込められています。」

台風のせいで、石巻行きが延期になり、3.11の被災地を訪れる前に「シン高物語」の続きを書く時間が出来た。
広島を発つ前後から幾つかの「物語の入口」が「発見」されていたのだが、期せずして宮城の被災地を訪れる前に書く時間が出来たため、物語の入口は坂本さんと高谷さんのコラボアート一択となった。
より厳密に言えば、二人の次の作品が、(小説)「Xへの道」、あるいはシン高物語のメインゲートの一つだ:
《Piano 20110311》 [2018/23]
“Piano 20110311”
<作品解説>

|IS YOUR TIME」展(2017)で,インスタレーションとして展示された,

の津波で被災した

の高校のピアノを,ス

キャンするように対象物を写し取る方法で撮影した作品です.展覧会会期中のICCの展示室で撮影されました.

は,この

の津波で被災した

のピアノに出会い,坂本にとってもなじみの深い,ピアノという楽器が自然の力によって,「モノ」に還されたのだと感じました.

とともに作られた《IS YOUR TIME》は,このピアノが奏でる物音の中に音楽を聴き取ることから音楽の再生を試みながら,物理的な音を感知することだけではない,知覚不可能な世界を感覚するための作品です. 人間によって作られた,ピアノという近代を象徴する楽器が,津波という自然の力によって,楽器としての機能を失ったことは,当初,坂本に「音楽の死」を思わせるほどの印象を与えました.海水に漬かり,いくつかの鍵盤からは音が鳴らなくなり,調律することもむずかしい,修復不能となったピアノにたいして,やがて坂本はその印象を変えてくことになりました.そして,このピアノを「自然によって調律されたピアノ」としてとらえ直し,世界各地の地震データによって演奏することで,新たに地球の鳴動を感知させるためのメディアとして「転生」させることを試みたのです. もとはモノだったものが,人によって変形され,時間とともに,あるいは巨大な自然の力によってまたモノに還っていく. 都市もそうだ,都市の素材も鉄,ガラス,コンクリートなど,もとはみな自然のモノ.それらを人は惑星各地から集積し,あたかも彫刻のように形を与えていく.しかしそれも時間の経過とともに,モノに還っていく. 自分が住んでいるマンハッタンを見ていて,以前からそう思えて仕方なかった.これは単なる個人の妄想ではないんだと最近は思うようになった. 坂本龍一 ——「設置音楽2|IS YOUR TIME」展覧会に寄せて(2017年12月)

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これが坂本さん本人の言葉による「宇宙の歴史」としての「僕らの歴史」だ。
それは「近く不可能な世界」を含み、それを「感覚する」ことが「宇宙的な視点」に立つことであり、みんなでその地点に立ちたいというのが、シン高のロゴマークに込められた想いだ。
それは具体的には、坂本さんと高谷さんのアートの価値を理解出来るようになり、楽しめるようになることを意味する。
まさに、この「宇宙の歴史」としての「僕らの歴史」そのものを表現した『Tangent (タンジェント)』のような作品を:
【ロームシアター京都】

) 新作パフォーマンス『

)』トレイラー

via

高谷さんと

さんのコラボ作品が、

に常設展示されます。

さんの『

(

)』に

さんの遺作『12』が美しい輪郭をあたえます。

の「ロゴマークに込めた想い」とは、この作品を創る高谷さんや坂本さんのような「

」を持つ人になって欲しいということです。

このようにシン高は、高谷さんと坂本さんのコラボアートが表現することを最も大切にします。
そのことをはっきりと自覚したのは、2023年6月10日(土)、広島市内からフェリーで約20分のところに位置する似島(にのしま)を訪れたことがきっかけでした。
原爆投下後、この美しい島に臨時野戦病院が設置され、1万人を越える犠牲者が収容され、その約7割が亡くなられたと言われています。
当時の似島の様子についてはこちらを御覧ください
島を歩いていると、当時小学校一年生の僕の大切な友人K君に伝えたい言葉が次々に降ってきて、それを手紙(メール)にして彼に送りました。
そもそもその日の朝に急に島を訪れたのも彼のおかげでした。
そしてそれが全ての始まりでした。
(続く)
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