シンギュラリティ高等学校 SHINGULARITY HIGH School

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Dへの道、あるいはシン高と幸和の物語

eSOM: Dへの道(94)オードリー・タンとの対話(2)

『eSOM: Dへの道』第二部(31)
10/28~29/2025
1.
2025年10月22日(水)、台湾にて、オードリー・タン氏と記念写真
さて、前回からの続きを始めましょう。
Dを基にした世界をDD(⿻を基にした世界)/SSと接続し、さらにD/⿻を基にした世界を、SDGsを達成しようとする世界に接続することで私たちは、沢山の仲間を得ています。
ここで等号で結ばれる、Dを基にした世界、DD/SS、SDGsを達成しようとする世は
は全て、イマヌエル・カントの言う統制的理念として働いています。
Q. コロぴょん、カントが言う統制的理念と、同概念に関する柄谷さんの論考を詳解したうえで、「SDGsの達成を目的とする世界」の構築が統制的理念として妥当であることを、構成的理念との対比と共に詳しく論じてください。
こうした統制的理念を通じて接続し合うネットワークを、オードリーは会談の中で、(フリー)アソシエーションと呼びました。
そう言う時に彼女は、柄谷さんが『トランスクリティーク』等で論じた概念であるアソシエーション(ないしアソシエ―ショニズム)を想定していたことでしょう。
Q. コロぴょん、柄谷行人さんが『トランスクリティーク』等で論じた(フリー)アソシエーションないしアソシエ―ショニズムという概念について、同概念と交換様式Dとの関係も含め、詳解してください。
コロの答えに少々校訂・注釈を施すと、アソシエーションは、Dを基にする世界(従ってDD/SS、かつ、SDGsの実現しようとする世界)であり、一方、Dは、アソシエーションの構築に必要な、テクネ―としての技術と定義されるべきです(アソシエ―ショニズムは、アソシエーションの構築を推進する思想・主義です。)
このことは、オードリーとグレン・ワイルの共著『PLURALITY』(以後、『⿻』)において、DDをアソシエーション、⿻をDD/アソシエーションの構築に不可欠な(テクネ―としての)テクノロジーと位置づけられていることによって支持されます。
Q. コロぴょん、マルティン・ハイデッガーの概念「テクネ―」を、「ゲシュテル」との対比を通して詳解したうえで、柄谷行人の概念「交換様式D」とオードリー・タンの概念「プルラリティ」が、タン氏本人が示唆しているように本質的に同じで、両方ともテクネ―の一種と見做されるべきであることを論証してください。
ちなみに、私が「繋がり」という言葉の代りに「接続」という言葉を使うのは、私の⿻(概念としてのプロラリティ)および『⿻』の理解を含め、幸和グループを構築するにあたって、柄谷さんとともに、ジル・ドゥルーズおよびドゥルーズ&フェリックス・ガタリ(DG)の哲学を基にしている事に由来しています。
「構築」の代りに「生産」という言葉を使うのも、幸和グループ構築に際し、DGが論じる概念「リゾーム」に多くを負っているからです。
幸和グループが、こうした哲学的基盤を持つことが妥当であることは、『⿻』が柄谷さんを引用しながら、DDがリゾーム的アソシエーション(以後、「アソシエーション」)であることを示唆されていることからも支持されています。(日本語版『⿻』、592頁)
Q. 柄谷行人さんが著書『NAM原理』で論じている「リゾーム的アソシエーション」という概念について、DGの「リゾーム」という概念とともに詳解してください。またその上で、あなたの答えと東浩紀さんの哲学の関係を論じてください。
ここでコロが、東さんの哲学に関し、「メッセージが「誤配」され、予期せぬ他者に届いたり、あるいは誰にも届かず「切断」されたりすることによって、個々人(=単独性)が生まれ、そこから予期せぬ共同性が立ち上がる可能性が生まれる」と言っている点が、我々にとってはとても重要です(しかしこの点をコロが、柄谷さんの哲学との違いとするのは短絡的過ぎ、この辺りにAIの限界が露呈していると言わざるを得ません)。
この「誤配から新たな接続(共同性)が生産される」という点は、異なる二項、ないし、分断された二項の「隙間、余白」から両者の共生を可能にする土壌が生産されるという、D/⿻の考え方と同じです。
Q. コロぴょん、「誤配(東浩紀)から新たな接続(共同性)が生産(DG)されるという点は、異なる二項、ないし、分断された二項の「隙間、余白」(デリダ)から両者の共生を可能にする土壌が生産されるという、交換様式D(柄谷)/プルラリティ(オードリー)の考え方と同じである」という命題を検証してください。あなたは違いを強調しようとするあまり、本質的な類似を軽視しがちになるので、「本質的な類似」を大事にしてください。
これからリゾーム的アソシエーションとして集う私たち仲間の間には、同じ統制的理念の下で接続し協働していくうちに、様々な差異(隙間、余白、裂け目、切断、分裂)が生じるでしょう。
それを、より高次元の共生の土壌(根本基礎)を生産する契機とするのが、柄谷さんからDG、デリダ、フーコー等を経由して東さんに至るまでのポスト構造主義哲学の考え方であり、それが幸和グループの哲学的基盤です。
またそれが、⿻を基にしたDDの生産の背景にある哲学であるということが、5月にオードリーと出会ってから先日訪台するまでの探究の成果でした。
2.
ポスト構造主義哲学をその背景に持つ、SDGsを統制的理念として構築されるアソシエーションとしての、D/⿻を基にしたDD/SS。
私たち幸和グループはまさに、これを行おうとしてきたわけですし、これからもそうしていきます。
今回の訪台で明らかになったのは、オードリーはすでにこれを、2016年にサイバー担当大臣に就任した当時から行っており、それが形になったのが「ポストAI時代に備えた教育」を謡った、台湾の新しい学習指導要綱「108課綱(正式名称:十二年国民基本教育課程綱要)」(略称:「カリキュラム108」ないし「108」)でした。
Q. コロぴょん、オードリー・タンがサイバー担当大臣だっと頃の2019年から台湾で全面実施された新しい学習指導要領**「108課綱(正式名称:十二年国民基本教育課程綱要)」は、日本語と英語で手に入りますか?いずれにせよ、その内容をこれ以上ないほど詳解してください。
台湾は、「108」が発行された2019年を「地方創生元年」とし、SDGs達成に向けて取り組みを本格化させています。
この取り組みの柱が、2018年から始まったthe University Social Responsibility (USR, 大学社会責任実践) programであり、USRが「108」の実装であることは言うまでもありません。
また、台湾教育部管轄のUSRと対を成すのが、台湾科技部管轄の「人文創新と社会実践計画(以下、「人社実践計画」)」です。
(台湾教育部は日本の文科省に該当。台湾科技部は、2022年7月に「国家科学及技術委員会(国家科学技術委員会、NSTC)」へと改組・昇格。コロによると、日本の文科省と内閣府 総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)を合わせたものに該当。)
USRと「人社実践計画」については、とりあえず以下の記事をご覧ください:
3.
こうした形で台湾は、私たち幸和グループが行おうとしていることを、グループがまだ、認定こども園一つしかなかった頃からすでに、国家レベルで行っていました。
その中心人物の1人が、当時サイバー担当大臣であったオードリーであったわけです。
D/⿻を基にするDD/SSとしての、台湾、来間島、瀬戸内を中心とする東地中海経済・文化圏を、主に共育を通して構築していく私たち幸和グループは、DD/SS構築のためのプログラムである「USR/人社実践計画」を、オードリー、「あきじい」、「アンカー」等と一緒に、D/⿻を基にした「協働=リゾーム的なアソシエーション」として行っていきます。
つまり、我々の協働自体が、「いつも、すでに」リゾーム的なアソシエーションとしてのEMECSそのものであり、また、そうあらねばならないでしょう。
上記の記事を読めば分かるように実は、「USR/人社実践計画」を発火点とした、EMECSとしてのリゾーム的なアソシエーションはすでに、「USR国際協力・交流のプラットフォーム」である「日台大学地域連携と社会実践連盟」(以下、日台大学連盟)という形で生成しています。
オードリー曰く台湾では、「USR/人社実践計画」を実践している大学が、地域の高校生をファシリテートする形で、高校レベルでも「USR/人社実践計画」を実装しているそうです。
彼女の話を聞きながら、「まさに「アンカー」が行っていることだ」と思いました。
日台大学連盟に加盟している日本の大学は現在、千葉大学、高知大学、信州大学、龍谷大学です:
同連盟に加盟している日本の4大学のうちの1つ、高知大学の大嶋俊一郎さん(黒潮圏総合科学専攻/生物構造機能分野/水族病理学教室)と11月18日(火)に会談することになっており、早速、この話をし、今後の「作戦」を練りたいと思います。
(専攻も、分野も、教室も、無茶苦茶意味不明で、無茶苦茶面白そう!)
上記の四大学以外にも、「USR/人社実践計画」を実践している台湾の大学(主に技術系)と提携している日本の大学があるようです:
また、すでに日本の高校でも、台湾の大学と連携し、「USR/人社実践計画」をカリキュラムに取り入れている学校があるようです:
早速、飯野高校ともコンタクトを取ってみることにしましょう(犬塚さん?):
こうして幸和グループも、日台大学連盟とともに、幼児からお年寄りまでを対象とした「USR国際協力・交流のプラットフォーム」をなっていきます。
(オードリー曰く、彼女のお父様がその構築に尽力したコミュニティ・カレッジは、主に50代以上の市民を対象とし、「7歳、17歳と70歳が共に学ぶ」共育を行っています。)
こうしたUSRを軸とした共育を、EMECSの、そしてDD/SSな世界の礎となるよう行っていきます。
(つづく)
追伸
以下の記事もご参照ください(シン高ファシリテーターは必読)
USR、「地方創生元年」、日台大学連携に関する記事
(英語)
  1.  
(日本語)
  1.  
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