eSOM (イゾーム)
Dへの道、あるいはシン高と幸和の物語
2025.05.09
Dへの道、あるいは幸和物語(8):「星の子、宇宙の子」としての私、私の「この身体」の一部としての地球
1.
「ヒトは星の子、宇宙の子」~かけがえのない生命、138億年の旅~
これは、シン高の理科の必修科目「科学と人間生活」の別名です。
担当してくださる越智秀二さんが名付けてくださいました。
その名の通り、我々シン高メンバーは元々、星(恒星)によって構築され、星は宇宙によって構築されています。
では、「存在の(とりあえずの)先祖」である宇宙は「どこで、どのようにして」構築されたのでしょうか?
「どこで」に関しては、所説あるものの、現在の科学では解明されていません。
一方の「どのようにして」に関しては、「ビックバン理論」として一応の科学的的に解明をされています。
とは言え、たかだか400~500年前まで地球の周りを宇宙が周っていると信じていた人類です。
「ビッグバン理論」も絶対ではありません。
あらゆる通説、常識を疑うこと。
そこから「バガボンド(探究学習者)への道」が始まります。
2.
とりあえず「越智さんの宇宙史」は、「ビッグバン理論」を採用します。
すると、宇宙の誕生は138億年前ということになります。
それが「宇宙の歴史」の始まりです。
宇宙は人類の「親」でもあるわけだから、それは人類史の始まりとも言えるでしょう。
と言っても、138億年前のビッグバン(「親」の誕生)から最初の人類とみなされているアウストラロピテクス属の初期の種が現れる凡そ500万年前まで、137億9千500万年の時間を要しています。
現生人類の直接の先祖であるホモ・サピエンスとなると、アウストラロピテクスの出現からさらに470万年、宇宙の誕生から数えて137億9千970万年かかっています。
まず、宇宙が誕生してから3億年後の135億年前に星(恒星)が誕生しました。
そして、星の誕生からさらに2億年後の133億年前に、銀河(数億から数兆個もの恒星や、星間ガス、塵などが、重力によって集まってできた巨大な天体の集団)が誕生した。(越智秀二、『「ヒトは星の子、宇宙の子」~かけがえのない生命、138億年の旅~(シン高必修科目「科学と人間生活」)』(以後、『ヒトは星の子』)
(二代目以降の)恒星は、恒星の爆発によって出来た物質(を含む星間物質)をもとに誕生すると言われています。
では「一代目の恒星」である「宇宙に誕生した最初の恒星」はどうやって出来たのでしょうか?
シン高みんなの愛犬コロ(Gemini)によれば、最初の恒星は、ビッグバン直後の主に水素とヘリウムからなる原始的なガス雲から誕生しました。
最初の恒星誕生とビッグバンについてはこちら:
このように、①適切な問い(課題)の設定、②「だとしたら○○の場合はどうなる?」という、「さらなる問いの設定(例:恒星が、恒星の爆発によって生成される星間物質をもとにして誕生するなら、最初の恒星はどうやって誕生したのか?)」が出来る能力(コンピュテーショナル・シンキング)、③AIをアシスタントとして②のような探究学習を行うためのスキル、の3つがあれば、どのような学校や(人間の)教師も及ばない学びが自分一人で出来るでしょう。
AIさえ使いこなせれば。
イーロン・マスクは、AIを学習アシスタントにすることは、アインシュタインを家庭教師に持つようなものだと言っています。
全くその通りだと思います。
その実例を一つ挙げておきましょう。
先進国に比べて決して教育水準の高くないあるアフリカの高校で、イギリスの名門校で数年かけて行う学習をAIを利用しておこなったところ、僅か半年でイギリスの生徒と同じ水準で習得してしまったそうです。
そうしたことを踏まえてシン高では、(先生ではなく)ファシリテーターが、「バガボンド(探究学習者)」になるための「修行」の「師範」のような存在として、上記の三つのスキルを生徒と一緒に育んでいきます。
3.
もうしばらく、宇宙の誕生からホモ・サピエンスの誕生までの137億9千970万年の間に起きたことの話をしましょう。
そこに、「保健体育」が、「書道」(芸術)、「家庭科」、「科学と人間生活」と並んでシン高における共育の「核」であることの秘密が隠されています。
宇宙誕生から3億年後の恒星の誕生(135億年前)後から、宇宙では恒星の誕生と爆発が繰り返されています。
「この繰り返しによって、重い元素が蓄積され、惑星などの材料も出来た」(『ヒトは星の子』)
そして、宇宙誕生から約90億年後の46億年前、ついに太陽系(太陽とその重力によって束縛された全ての天体(惑星、準惑星、小惑星、彗星、塵など)を含むシステム)が、つまりは、地球が誕生しました。
地球上に最初の生命が誕生したのは、地球が誕生してから5億年後の40億年前と推定されます。
この点に関し、「越智さんの宇宙史」を見てみましょう:
「海底火山の噴火口付近では350℃以上の高温の噴火が噴出。様々な硫化物イオンや水素イオン、メタン、二酸化炭素などがあり、これらを材料にして有機物が生成。それらが複雑に組み合わさって、最初の生物(単細胞の原核生物:バクテリア)が誕生した。約40億年前という年代は、カナダのラブラドル地方の有機炭素(39.5億年前)の研究より」(『ヒトは星の子』)
『ヒトは星の子』からのこの引用からだけでも察しがつくように生物は、水、有機物、エネルギーなど様々な要素が、鉱物と相互に作用して、非常に複雑なプロセスを経て生まれた物質です。
鉱物がなければ、現在の多様な生物は存在し得なかったと言っても過言ではありません。
その意味で鉱物は、生物の「母」とまでは言わないまでも、「根本基礎」と言って間違いないでしょう。
詳しくはこちら:
4.
では、生物の源である「水、有機物、エネルギーなど様々な要素」や鉱物は、どのようにして宇宙に誕生したのでしょうか?
まず、地球上の全ての存在が「元素(化学的な手段ではそれ以上分解できない、物質を構成する基本的な要素;物質を作るための基本的な「材料」)」から出来ているという、現在のところ科学的に信頼されてる知識から始めることとしましょう。
原子との関係における、元素の構造の詳しい説明はこちら:
そして、宇宙に存在する全ての元素は、恒星内部における核融合によって生成します。
核融合について詳しくはこちら:
核融合によって元素が生成し、そして元素を材料として、鉱物から生物までの、地球上に存在する全ての物質が生成します。
従って、核融合こそが地球や人間の源と言って差し支えないでしょう。
ちなみに「越智さんの宇宙史」では、「天の川銀河に存在する無数の惑星の構成物質と我々の身体の構成物質(「生命の構成要素」とされる必須元素CHNOPS)がほぼ同じである」ことを学びます。
このことは、地球は、人間の身体のような、一つの有機体、一つの身体と考え得るのではないかという仮説を我々にもたらします。
ジェームズ・ラブロックの「ガイア理論」は、まさにそうした理論です。
また、越智さんが敬愛し、私の母校(コーネル大学)で長年教鞭を取っていたカール・セーガンさん(宇宙物理学)の元・奥様であるリン・マーギュリスさん(生物学)の「細胞内共生説(エンドシンビオシス説)」も、同様の視点に立つ科学者です。
ガイア理論とエンドシンビオシス説についてはこちら:
シン高メンバーの各々は、地球を自らの身体の延長、つまりは自らの身体の一部として、自らの身体と地球両方のウェルビーイング(身体的、精神的、社会的健康)の達成を目標とします。
(続く)